肖像
梅田 隆幸 / PERK.
Photo:山本博司.

作者コメント:
今回が3回目の参加で、前回ノミネートを頂いたのですが、そこからどうすれば選んで頂けるのかを考え、今回はインパクトと違和感を出そうと思いました。イメージ的には、古い絵の肖像画を表現しようと思いました。毛の質感やメイクの質感を2種類くらい混ぜながら、何か違和感を出す感じで表現しました。カメラマンさんやモデルさん、撮影に関わっていただいた皆様に感謝しております。来年ももっといい作品を作って観て頂けるよう頑張ります。

選出者(端聡)コメント:
一昔前のフィルム写真でいうセピア調の作品ですが、完全にセピアではなく唇など、ほんのり赤みかかっているので、現在のデジタル作品なのでしょう。真正面の構図ですが光と影のバランスが絶妙なことから空間が活きており、写真としては物凄く完成度の高い作品だと思います。 髪型のテクニックは専門家でないのでわからないのですが、とりわけストレートぽい髪から繊細なウェーブへと途中から変化しており、そのコントラストから生み出される細かな光の線が写真の中で美しく感じました。特に目を引いたのは写真という2次元な存在を3次元的というか、物質感がある作品になっていることです。写真中央の辺りに横線が見えますが、これは、おそらくプリントした後に一旦折り曲げて、また戻している感じがします。横の線だけではなく細かな折り曲げ線は複数あり、さらにプリントした上からペイントを施したような雰囲気のいい汚れやシミなどアンティーク加工されています。そのことから2次元(平面)の写真では見られない奥行き感も演出されている。素晴らしい作品だと思いました。