2016
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「ヘアデザインの新たな可能性・創造性をここ北海道から発信する」というコンセプトの「北海道ヘアデザイナー100人展」が第8回目を迎えられ、そして多くの作品が応募され、若い美容師さんの登竜門として活気溢れる素晴らしい交流、研鑽の場になっていることを肌で感じました。
私自身これまでに創作活動を行いながら次世代のクリエーター、美容師の育成に少なからず携わってきました。その中で我々美容師とって常に大切だと思うことはサロンワークであれば常にお客さまの評価であります。そしてクリエーション力を高める手段としは独り善がりに落ちいらないためにも、こうしたフォトコン等で第三者からの評価を受け、切磋琢磨することが重要であることをこれまでの経験を通して実感しています。
内容的には、特に北海道と区分けすることも必要でないくらいのレベルの高い作品展が数多く集まり、クオリティーの高いフォトコンとなったと思います。
美容師自らの力で企画・運営されているのもこの展覧会の大きな特色でもあり、益々のご発展を祈念致しております。
- マサ大竹(資生堂美容技術専門学校校長/ICD[世界美容家協会]/日本支部副会長/ICDパリ本部役員/日本ヘアデザイン協会理事/テクニカルチ ェアパーソン)
こんなにたくさんの方の作品の中から選出する作業は初めての経験でした。自分が好きな世界観に近い作品と出逢え、刺激的でした。テーマを設けず 作品だけで勝負する世界は難しいことですが、ファッションやビューティー、アートってそもそも 良いと思うものに理由はなく『ただカッコイイから好き』で良いんだと僕は思っています。たったその理由だけで、そのパワーはものすごくって、カッコイイもの、美しいものをただただ追求していけば、誰も見た事のない新しいものが生まれてくるんじゃないでしょうか。
こういう機会で制作に関わることで、自分の美意識とか理想の世界観を思いっきり作っていく作業は本当の自分と向き合える良い時間でもあります。
受賞を目標にするだけではなく、そういう時間を毎年貴重に過ごす体験を楽しめるのも100人展の良いところなんじゃないかと思います。これからももっともっと刺激的でカッコイイものを見せて頂きたいです!
ありがとうございました。
- YOSHIROTTEN(グラフィックアーティスト/アートディレクター)
北海道ヘアデザイナー100人展は今年で8回目の開催になるようですが、おそらく美容専門出版社の中では審査員として最多の参加かもしれません。と言いつつ僕自身今年は3年ぶりの出席。ブランクも含めこのイベントを長きにわたり見てきて思ったことは、北海道から発信する美容軸のクリエイションが時代と共にありながら、時代の移ろいを感じさせてくれたこと。つまり成長と進化の過程を見せてくれました。ヘア作品と言っても幅は広く、サロンスタイルに近いものから、アートへ振り切れているものまでさまざま。月刊ヘアモードとしては、作品の方向性を問わずに「デザイン」としてどのように構成されていたかを審査基準とさせていただきました。髪の質感、カタチ、色味、バランス、似合わせ、時代性、表現力、構成力など。これらの視点を鑑みて、総合的に完成度が高くオリジナリティのあるものを上位に選出いたしました。このイベントの当初はなかなか選ぶだけでも大変だったのですが、今年は絞り込むのに苦労しました。数年前と比べて表現力が豊かになっていることと、参加している人の取り組む姿勢や心が豊かになっていたのがともて印象的でした。
- 寺口昇孝(月刊『HAIR MODE』代表取締役社長)
今年で8回目という北海道ヘアデザイナー100人展。今年のキーワードは「Keep Teying, Gratify Someone.」それは“サロンワークを通じて人々に幸せになって頂くだけでなく、クリエイションというアプローチとのバアンスのなかで、デザイナー自身も満足感を得て、人間として成長していくべき”という想い。まさに参加された美容師の方々は追求心を持って撮影を行い、すでに得る物があったはず。それは年々この100人展の作品レベルが上がっていることが証明しています。しっかりと「女性像」を表現されている作品がほとんどだと感じました。そして100人展が他のフォトコンと違うのは、こういった美容師自身の“自分に対しての内なる挑戦”である作品を、一般消費者つまりはお客様にまでリーチさせ、さらに日本のみならず世界を視野に入れているところ。美容の本質を捉え、向き合いながら、日本の美容師という存在、感性、力量の「発信」を敢行する100人展は大きなムーブメント。日本の美容業界の次のステップを北海道から指南している、そんな革新的なイベントである100人展のこれからの動きに注目していきたいです。
- 乾 亜美(SNIP STYLE編集長)
前回までは総評という形で書かせていただきましたが、回を重ねるごとに全体レベルが上がり完成度も高くなっていることから、今回に限って総評ではなく私がエントリーしたアワード作品を除いた4作品の感想を記載します。[Tacky girl] 都市空間における隙間。ビルとビルの間。そこにはデザイン性など全く無い機能性のみが存在する無機質空間。Tackyとはダサい悪趣味など表す言葉ですが、逆に言えばポピュリズムを無視したデザインの狂信者とも言える存在です。相反する存在が一つの場に成立しているコントラストに近未来を感じます。[Gelee] 様々な装飾を施されたボタンが顔にコラージュされ、そこに髪が植物のツタのように美しく絡まっている。顔が一つのファッション(衣服化された)化された現象に思わされる面白さ。ある意味、現代のファッションを象徴しているのかもしれません。[あかい] これは繊細な作品です。私のような美術家からは、どうしてもレオナルド・ダ・ヴィンチなどを思わされ、古典絵画のワンシーンに見えてしまいます。一本一本の髪の質感表現もさることながら、その奥にある目線も15世紀から現在を傍観しているかのような印象があります。[School Girl] 現実的なシチュエーションを想定した映画やドキュメンタリーのような作品です。3人の人種は異なり、当然、髪の色も(黒、金髪?、赤髪)違うわけです。それに伴い民族のルーツも違うはずですが、この写真では同じ学校の学生として並び、その眼差しは強烈な問題意識を我々に訴えかけているようにも見えます。この問題とは学校内のことなのか?環境問題なのか?学生貧困という格差問題なのか?それほど多くデザインされていない髪型が説得力を増していました。
- 端聡(アートディレクター/芸術家)