2017
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General Comments
人は誰でも、何かを表現する際には、強く影響を受けたものが関係してきます。俗にいう、インスピレーションやオマージュですが、そこで多くの人が間違ってしまうのが、それらに近づこうとして、似た構図で作品を創ることです。“恐らくそうしたであろう”作品が多くありましたが、似たような作品はいくつも必要ありません。影響を受けることは悪いことではありませんが、なぜ、影響を受けたのかを自ら理解できれば、そこに時代感や自分の感情などを加えてからアウトプットすることで、オリジナルの作品ができるはずです。また、取り入れたい要素が多すぎて、思い通りにまとまらず中途半端になった作品もいくつかありましたが、それは単純に欲張りすぎたか、選べなかった結果。要素が多ければ視点が定まりませんし、八方美人的なあざとさはマイナスになります。また、写真の加工が容易にできる今ですが、修正しすぎると、臨場感をなくしてしまうことがあります。写真から感じるのは、写っているものだけではありませんから、どう見られるかというよりも、どう感じてもらうか、という考え方にするとよいのではないでしょうか。
選ばれた作品に共通していたのは、似たような物ではなく、その作品にしかない魅了があったということです。“答えを求めたのに正解が出せなかった”作品が多かったのは、自分の理想を押し付けようとしたためかもしれません。少し引き算するとか、必要以上にシンプルにし過ぎたとか、もったいない作品が多かったのですが、それだけもっと良くなる可能性がある作品が多かったとも言えます。今回選ばれなかった人たちも、他のフォトコンテストや次回の100人展に向けて、挑戦してみてください。
- 児島幹規(『装苑』装苑編集長)
100点を超える力作を楽しく拝見いたしました。バリエーション豊かな作品に、美容師の皆さんが持つ表現力の幅広さを感じました。一つひとつの作品から、皆さんの美容に対する熱い気持ちと、何よりも「つくる」ことを心から楽しんでいることが伝わってきて、とても嬉しく、そして頼もしく思っています。普段のサロンワークでも、作品づくりにおいても、楽しみながら取り組んでいる人はとても魅力的。そんなキラキラと輝く姿に、人は惹きつけられるものです。美容師の皆さんのヘアデザインに対する熱量が、このようなイベントというかたちとなり、それが毎回進化を遂げているというのだから、非常に喜ばしいことだと思います。これからも、ヘアデザイナーの瑞々しい感性を発揮できる場であってほしいです。このエネルギッシュなイベント「北海道ヘアデザイナー100人展」の益々の発展を期待しております。
- 宮崎千夏(月刊『HAIR MODE』副編集長)
素敵な写真に囲まれて、しかもその中から選出するという事を人生で初めてしました。
とても素晴らしい経験を有難うございました。
自分の頭の中にある想像を具現化するのはとても難しいですよね。それはダンスも一緒です。
けど、それを鮮明に表現していてインスパイアーされました。
無難で安全な道を行くのが多い世界、作品の中には変態な物が多々あり、まだまだ世界は終わっていないなと嬉しく思いました。
今回コメンテーターとして参加致しましたが、私の方がとても勉強になりました。
もっともっと変態が生まれてほしいですね(笑)
- Bambi
自分が想いを込めた作品を世の中に出す事って、エキサイティングな反面、恐怖だったりもして、私は同じ作り手として、自分が最初のミニアルバムをリリースした時を思い出しました。育てた子を送り出す親の気持ちのような、そんな気持ちで皆さんも出品されたのかなと思うと、その熱を近くで感じることが出来て、大きなエネルギーをもらえた気がします。
今回、選考するにあたり、ヘアタイルはもちろんですが、写真そのものの演出も考慮しながら作品を選ぶ、というのが難しかったですが、一度に様々な感性に触れられて嬉しかったです。
今年で9回目を迎えられたこの100人展を支えてる方々にも感動しました。物事を続けていく事は、始めるより大変な事だと思いますが、これからも多くのアーティストの方々の発信の場として、続いていって欲しいと思います。応援しています!
- ゆう姫
来年に思いを寄せて。
9年目を迎えたヘアデザイナー100人展。幸いなことに私は第一回目から携わっており、9年間の進化と変化をパラレルに体感しています。第一回目は参加するデザイナーもアワードに慣れてないことから表現の方向性が定まらず完成度のバラツキが極端でした。しかし方向性が定まっていない分、やりたいことに忠実とも言える実験的な表現もあり、鑑賞側としては楽しめた記憶もあります。2回、3回と年を追うごとに自然とアワードに対する傾向と対策を考えるデザイナーも増え全体の完成度も高くなり、その傾向は9年目を迎えた今回に至っては完成度の低い作品を見つけること事態困難になったと言えましょう。しかし何故か第一回目の混沌とした状態も良い意味で今となっては懐かしい気がしています。というのもアワードに対する傾向と対策に走らず手探り様態にせよ自分自身に正直な表現が多かったからです。過去の事例を考えあれこれ悩まず、未来の入賞を気にして肩に力を入れることもなく、そのぞれの「今」を正直に表現していた第一回目がありました。完成度こそ低いものもありましたが、あの荒削りの個性豊かな表現は間違いなく今回までの礎になっているはずです。来年はいよいよ記念する10回目となりますが、もう一度、原点に立ち戻り自分本位の表現と完成度やコンセプトが両立する作品が今年以上に登場するのでは?と今からワクワクしています。
- 端聡(美術家/アートディレクター)