2018
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北海道から発信するヘアデザイナー100人展 最高でした!
審査員として参加させて頂き、沢山の作品との出会いの機会を与えてくださって感謝します!
ここでデザイナーの方達、スタッフ方達に大きな拍手を贈ります 笑
何かを創って、表現するという作業って本当に楽しいですよね。私はフォトグラファーとして常に思っている事は皆んながハッピーになる事で、写真を見た人を幸せな気持ちにしたいって思ってシャッターを押しています。見方や感じ方はその人それぞれですが、幸せな気持ちになったり、自分の創造力への刺激になったり、美しいと感じたりとか。それは私達が生活して行く上でとても重要な事で、常に模索し前向きに人生を歩んでいける糧になってゆくはずです。
皆様の豊かな創造性で自分と周りの人々をどんどんハッピーにしていきましょう!
今回が10回目となった北海道ヘアデザイナー100人展、次回がもう楽しみです 笑
北海道から全国へ、はたまた海外へとこの素晴らしい企画を発信して幸せを広げて行きましょう。
また皆様にお会いできる時を楽しみにしています!
- 新田 桂一(Photographer)
知人からの紹介で100人展の審査員として参加することになりましたが、最初「え、俺?髪の毛ないよ?」と驚きを隠せませんでした。僕よりふた回り以上上の方と肩を並べて審査をし、下手したら参加者は全員僕より年上という自分にとって、ある意味慣れていてカオスな状況だったけれど(どこに行ってもそうなります現在においては)
個人的にはこの年齢なりに参加できた意義が見出せた気がします。どうせ老けるから年齢なんて関係ないのだけれど、やはり社会的にみたら若いということは武器でもあるしネックでもある。それをコンテストの審査にもあててみようと思って、他の方が’確実に’選ばないだろうなという作品をアワード以外では選出したんです。
北海道の野菜を使った作品や、泥がなんだかわからないものが付いた作品、鳥という形容が難しい作品、後ろ姿の作品…など絶対にコンテスト向きじゃない作品を選ぶと決めていたので、これで良かったと思っています。他の審査員の方や参加者がどう思っても。僕の単なるフィーリングで選出が決まるのも面白いと思いました。他の方が選んだ綺麗な作品ではなく もっともっと 泥臭さや荒さを感じるものを選ぶことが僕にとっての役割だと感じたからです。それをしなかったら おそらく新田さんや小島さんなどなど他の審査員の人と同じ毛色で作品を選んだと思いますから。
皆さんに会うきっかけをくださった100人展が継続してもっともっと広がりを見せたコンテストになったら僕としても本望ですし、また次の機会参加ができたら お互いに成長した姿を見せられるのではないかと思います。
僕、武道館公演をすることが目標なので 叶ってたらいいな。次来た時。すみません、自分が大好きなので自分の話多めになってしまって。笑笑
またお会いしましょう。有難うございました。さよなら。
- 清水 文太
昨年に続き2度目の審査となりましたが、前回と比べると既視感のある作品は少なかったように思います。その代わり、突き抜けた作品も少なかった。全体のそうした印象も、選考基準に影響しているところが少なからずあると思います。これを書くのはよくないのかもしれませんが、実は昨年も今年も、自分が選んだ作品は鎖骨が見えています。僕は鎖骨が好きだから……ではなく(苦笑)、着用していないものを選んだ理由は、服とヘアメイクとのバランスで、で気持ちが動いた作品が少ないということ。モノトーンの写真なら色合わせを気にしなくていいのと似ています。とはいえ、服の色や素材感、背景の色も含めうまく構成できればそうした作品のほうが明らかに強いので、勝負できる人は必ずしてください。人の気配を生かさず、絵として見せるなら外国人のほうが圧倒的にハマります。
とにかく、総評としてお伝えできるのは、何を伝えたいのかをもっとシンプルに考えてほしいということです。その結果ヘアの色や形状が複雑になってもそれは表現のためで、迷いではありませんから、だったらやれるだけやってしまえばいい。伝えたいことを欲張らなければ、表現の可能性は広がるはずです。不安が多いといろんな要素を入れたくなりますが、写真でも文章でもなんでも迷いがあるとぼんやりした印象になってしまいます。だったら、元々自分は何を表現したかったのかという本質に立ち返り、そこから表現の幅を広げるほうが自分らしく勝負できるのでないでしょうか。
勝手に色々と書いてしましましたが、今回の審査も楽しめました。他の審査員の方が会場ではなされていたように、もっと大きなイベントにできると思います。今後も楽しみにしていますし、また楽しめる機会があれば嬉しく思います。
- 児島 幹規(装苑編集長)
今年で10回目を迎える北海道ヘアデザイナー100人展。作品出展数も123点と多く、参加者も北海道だけでなく、東北、関東、九州と広域にわたっているなど、バラエティにとんだ作品を大変楽しく拝見させていただきました。通算6度のアワードの審査をさせていただき、時代の変化に伴い作品の精度も上がり、回を追うごとに上位の選出が難しくなっていると感じました。
特に今回は、突き抜けた独創性や創作性の高いものというよりも、切り口や見せ方はそれぞれの思いを込めてバラエティ豊かに表現されつつも、デザイン性だったり、構成力だったりを作品の中心に考えたものが多くあったように思います。個人的には作品の方向性を問わず「ヘアデザイン」としてどのように構成されていたかを審査基準とさせていただきました。髪の質感、カタチ、色味、バランス、似合わせ、時代性、表現力、構成力など。これらを視点とし、ヘアデザインを中心に総合的に完成度が高くオリジナリティのあるものを上位に選出いたしました。
100人展の初回のころはヘアデザインの方向性や構成など、まだまだ定まっていないものも多く見受けられましたが、今回は全体を通し安定感のあるデザインが多く、全作品の底上げがされていて、アワード自体が気持ちのいい空間になっていたと思います。回を重ねるごとに進化し成長してきた同イベントも早くも10年。今後新たな局面迎え進化し続けるのだと思いますが、特別な制約を受けることなく伸び伸びとクリエイションに向かい合い情報を発信する「場」として、これからも期待しています。
- 寺口 昇孝(月刊『ヘアモード』誌 / 代表取締役社長 兼ヘアモード編集長)
総評と言うより、個人的に最後までアワード候補として悩んだ「マネキン」と言う作品や、私のノミネート作品に触れておきたいと思います。まず①「マネキン」ですが、この作品は現代や近未来の出来事を我々に示唆してます。承知の通り、昨今、AI人工頭脳の進化が劇的です。アメリカでは2000年から家庭用のペットにマイクロチップの埋め込みが義務付けられ多くの州で実施が広まっているようです。人間の人体にもチップを埋め込む実験が急ピッチで進んでおり、手や腕にチップを埋め込み、呼吸や体調の情報をモニターしたり、またiPoneなどスマホと連動させる実験も行われているようです。今後このようなAIの発達により、人間のサイボーグ化や、機械やロボットで代用できる人間の仕事(単純労働)は減って行き、本来の人間が持つ、創造性の発揮というものが問われる時代が目の前に迫っています。テクにロジーの劇的進化には多くの希望がある反面、少々怖い気もします。このマネキンという作品は、我々はAIに操られるマネキンなのか、それともマネキンやロボットを操る人間なのか?近未来の人間社会に警鐘をならす作品だとも言えます。②「タブー」写真表現としては絵画的で新しい表現です。自らの髪をヴェールとして全身を覆い自らの身体を隠しつつも、隠された身体から逆に強烈な個性を発した強い作品。③「それはスポットライトではない」摩訶不思議な作品です。写真の中の情報を考え、ストーリーを追っていけば追っていくほど意味不明!ただしっかりと髪型の主張だけはしている。不思議さとインパクトがある面白い作品です。④「ブロークンドール」髪を切っている最中、途中のまま完成作品にしています。写真という2次元表現の中に髪が落ちてゆく時間軸を取り入れているアイディアが面白いです。主体と客体の関係性の再考という意味も含まれ、切り落とされた髪は自分ではないのか?すでに客体としての物質なのか?極端に言えば体内にある水分は自分だが、尿なった瞬間に自分ではなくなるのか?我々の存在そのものにメスを入れてる作品だとも言えます。以上。
総評番外編
10年はひと昔と言われます。なぜか私は専門職でないのに関わらず、その一昔前からこのコンペに携わっています。そのことには感謝です。
最初にこのコンペの企画書を情熱あるヘアデザイナーから渡されたことを覚えています。当初は、今の様にSNSとかもそれほど発達してなく、インスタ映えという言葉もない時代でしたから、参加者は手探り状態での出品だったと思います。
それが1回目2回目となって、次第にお互いの競争心も沸きはじめ作品の完成度もどんどん高くなりました。5年目を過ぎた頃から道外、海外からの出品者も少数ではあるが現れ、当然道内デザイナーもそれに刺激を受け一層、完成度が高まりました。それが昨年までの状況だと思います。
今年、事件が起きました。これを読んでいる参加者の皆さんは承知だと思いますが、今年のアワードが1作品を抜かし全て道外の参加者であることです。このことには2つの意味があると思います。
ひとつは、この100人展が北海道を超え、道外に認知されたということ。もはやこの100人展がローカルな存在ではなくなったとうことです。これには大きな希望が持てます。
もう一つは道内の参加者の意識レベルを高めなければならないということです。先述した通り1回目から5回目までは、道内の勝負だったと言っても過言ではありませんでした。6回目ぐらいから道外の参加者も増え、道内デザイナーも更なる大きな刺激を受け全体として作品完成度が高まりました。
このことを考えると、個人個人がどの範囲で創造性を働かせているか?が問題だということです。例えで言えば、ある学校があって、最初は隣の人にいいね!を言われたかった。次にクラス全員にいいね!を言われたかった。次に学校全体でいいね!と言われたかった。次に全国の学校でいいね!と言われたい。というように各参加者の創造性を働かせる範囲を広げるということだと思います。
今となっては当然このコンペでは世界を標的にしなければならない時期に突入したと思われ、世界の最高峰の情報を取り入れて、尚且つ自分自身の創造性を発信しなければなりません。目標範囲とは自分自身で決めるものです。他者が決めてはくれません。あくまでも意識の問題です。「井の中の蛙」「お山の大将」とならないように意識を広い範囲としていただきたいと思います。
2013年付の日本経済新聞に人気観光都市で札幌は世界7位となっています。今でも上位にランクされている有名都市です。胸を張って創造性の範囲を広げ、世界のクリエーター達と勝負していただきたい。意識の変革だけが結果を変えるからです。
- 端 聡(美術家 / CAI現代芸術研究所アートディレクター)