2013
Guest Artists
Award
Nominate
General Comments
皆さんの作品への意欲と技術にとても感心させてもらいました。また、海外で頑張っている皆さんの作品のクオリティの高さにはとても驚かされました。もっとたくさんの作品(写真・絵画・映画など)やカルチャーに触れ、みなさんそれぞれの「好き」を見つけてもらえたらなと思います。そしてとにかく手を動かして、その「好き」を形にしたり再現してみて、その創ったものを誰かに見せて積極的に意見を聞いてみることも大切だと思います。またどこかで皆さんの作品とお会い出来る日を楽しみにしています。ありがとうございました!
- 川原 文洋
「“ヘアデザインの北海道スタイル”を世界へ発信するなんて、なんて大それたことを考えている若者なんだろう」……これが私の最初の印象です。仕事柄、美容に関する、ヒト、コト、モノのニュースを扱う中、ヘアサロン取材はここ数年の最大の関心事。サロン業界の重鎮とよばれる方と今後の展望を語り合ったり、サロン業務後に若手スタイリストたちが夜遅くまで練習するひたむきな姿を取材したり……この業界、「まだまだ捨てたもんじゃない」と思っていた矢先、このイベントに参加してガツンと頭を殴られたような衝撃を受けました。こんなに“熱い若者たち”がいたことに驚いたからです。作品一つひとつに込める思いも強くて深く、真剣そのもの。だから、こちら側も真剣に向き合わないと負けてしまう。作品のクオリティーの幅はありましたが、全体を通じて迫力のある作品ばかりでした。自分たちの表現する思いを、自らの力で切り開いていくことがどれだけ大変なことか――でも、「苦労をしてまでもやりたいことがある」「かなえたい夢がある」と真っ直ぐ歩いていく姿は、人の「心」を動かします。同じ志を持つ仲間がいることも素敵なことです。皆さんの熱い思いがたくさんの人の心を動かし、北海道から日本へ、そして世界へ発信されることをこれからも期待しています。
- 長谷川 真弓 (WWDビューティ/マネジング・エディター)
これで通算3回目の『北海道ヘアデザイナー100人展』のクロージングに参加させていただきました。年々、趣向が少しずつ変わり、進化を遂げてきている様子が窺えます。その中で今回は、作品の方向性が、大きく2つに分かれたような気がしました。クリエイティブを過剰に意識したものと、デザインを整理して表現を絞った作品と。僕が今回選んだ作品は、どちらかというと後者になります。どちらも大切なのですが、クリエイティブを意識するあまり「コスプレ」になってしまったり、「工作」になってしまったりするものも多く見受けられました。美容師である以上、ヘアからスタートするデザインであってほしいなと思います。どこを観てほしいのか、何を表現しようとしたのか。デザインポイントが明確になるほど、作品としては人の心に刺さるデザインになっていきます。作品撮りは、続ければ続けるほど、結果が形に表れるものです。諦めずに継続して取り組んだ人たちだけが、望めるような景色。その集大成が、『北海道ヘアデザイナー100人展』という場だと思います。その意味では、日本の美容業界を牽引する美容イベントに躍進してほしいですね。
- 寺口 昇孝 (女性モード社 JOSEI MODE/代表取締役社長)
毎年本当に楽しみにしています。全体的に年々グレードアップしているな!というのが第一印象でした。ただ、今年は経済の影響か昨年までと比べ比較的にまとまっていて、おとなしい作品が多いような気がしました。作り込む、作り込まないという意味ではなく『ヘアで創造する楽しさ』をもっと全面に押し出す遊びや強さがあっても良かったのではないかな?という気がしました。
- 七海 麻子 (JHA大賞受賞フォトグラファー)
早いもので5年目である。当初からアートがテーマに入っていたこともあり、アート性を重視した作品は毎年少なからず登場していた。初回では日めくりカレンダーを工夫するものなど斬新な試みが印象的だった。一方、ヘアーデザインは元々商業アートとしての位置付けられ、第三者が見て共感を得るものとされる。逆にアート作品の多くは独我論であり自己満足の世界である。その両方を融合してのヘアーデザイナー100人展であることから参加デザイナーも頭を抱えつつ5年を過ごしたに違いない。
5年目を迎えた今回もアートとの融合を試みた作品が幾つか見られ完成度は高くなっていることは言うまでもないが、型破りな作品は少なかった印象がある。ただし今回はゲスト作品にアートを感じるものが多く、特にロンドンから参加している作品の中で顔とヘアーにペイントを何層にも施し、その表層はひび割れ、色のレイヤーがヘアーと一体化しながら重厚な雰囲気を醸し出していたものがある。正に自己満足を超え、今流の言い方なら超自己満足といえる作品である。ここにアート表現における示唆があるように感じたのは私だけではないはずだ。
- 端 聡 (美術家/アートディレクター)