Japanese race
岩井 祐美子 / Alice
photo:七海麻子、Make:岩井祐美子、Model:鈴木愛、stylist:岩井祐美子、 Hair Product:ミルボン、 Make Product:シュウウエムラ

作者コメント:
作品のテーマは日本民族。日本のイメージカラーの赤を挿し色に全体をモノトーンで仕上げる事で、実際の『人間』らしさを残しつつ絵画の様な世界観を表現しました。もののけ姫をイメージ、モデルは日本人。作品を創るにあたって、この2点は当初から決めていました。意思のある女性像をヘアとメイクで創るように意識しました。 二年前、東京のメイクの学校に通い、ヘアだけでなくメイクで出来る表現の広さに魅了されました。 それを自らの手で創る事が今楽しくなってきました。今回の作品は、ヘアとメイクのバランスを意識しました。ヘアだけに持っていかれず、尚且つメイクだけにも持っていかれない、そんなヘアとメイクがお互いに作品の要になるような作品を極めるのが今の私の創りたいもの。その、原点になった思い入れのある作品です。

選出者(児島幹規)コメント:
あまり迷わずこの作品を選びました。北海道ヘアデザイナー100人展は自由に審査できるからこそ、自分なりに選ぶ基準を設けなくてはなりません。そこで今回は、被写体となるモデルさんが持っている個性を引き出し、そこを生かした美しさがあるかどうかを指針としました。その理由は、自分が美容師さんに求めたいものがそこにあるからです。個人と向き合い、顔の型や髪質、肌の色などを理解した上で個人というデザインをするみなさんのお仕事は、決して美しさや豪華さの追求だけではないと思います。そうしたものを求める時代は過去となり、現在の、特別過ぎなくて、リアルでありつつも、表層的では終わらないなにかを探したいような時代感も含んでいると思いました。具体的には日本民族というテーマで、輪郭、前髪、眉の形、紙の色などまさにジャパニーズな被写体でありがなら、モノトーンに挿した1点の朱が唇ではないことで、外国モデルを見るかのように視線を目元に向かわせるテクニックと、コントラストの具合や構図もいい。ほんの少し何かが多くても足りなくても、こうならなかったでしょう。要素を盛り込みすぎていないからこそ、細かなバランスのよさが伝わり、1色しか使わずとも“個性”を生むことができた好例だと思います。